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REPORT

レポート

2019.02.14

WASHハウスのコインランドリー事業とビジネスモデル、その革新性

2019年 新春経営者セミナー 講演記録Ⅱ

「WASHハウスのコインランドリー事業とビジネスモデル、その革新性」

今までの業界イメージを一新する事業を展開し、革新的なビジネスモデルでコインランドリー業界世界初の上場企業となったWASHハウス。今後は海外進出を目指して、業界の世界基準をつくろうと躍進されている児玉社長に、同社のイノベーションについてご講演いただきました。

児玉社長が会社を立ち上げた2000年当時のコインランドリーは、薄暗い店舗にキレイとは言えない設備が置いてあるような店舗ばかり。一例として挙げられたのが、「問い合わせ・クレームは〇×番まで。翌日対応させていただきます」という表示。考えてみると、濡れたものを翌日対応されて嬉しいでしょうか。そして、もしそれが毛布や布団だったら、その晩はどうやって寝ればいいのか――。これがコインランドリー業界の当たり前だった、と児玉社長は語ります。

WASHハウスでは、こうしたイメージを払しょくするような店づくりを心掛けられました。コインランドリーはサービスを提供する場だと位置づけ、それを提供できるような仕組みづくりを意識されたのです。

【WASHハウス流、多店舗展開の仕組みづくり】

WASHハウスの店舗は赤色と白色を基調としたデザインで、汚い・怖い・不親切という業界のイメージを一新するような、清潔さと明るさが前面に出たものになっています。そして、サービスを提供する仕組みを担っているのが、同社の大きな強みである「一括集中管理システム」です。

本部からすべての店舗が一括で見えるようになっているシステムで、高性能カメラは服の商品タグも見えるようになっています。お客様のお困りごとに対応するべく、遠隔で機械を動かすこともできます。
また、一台一台が何時何分にどのように使われたのか、そのすべてがデータとして蓄積されています。データの蓄積は16年にも及んでおり、それがビッグデータとして機能していることも、同社の大きな強みです。

全国の店舗で毎日行われている清掃の労務形態にも仕掛けがありました。24時間の中で一時間だけ好きな時間に働いてもらうという形態です。全国で500店舗を超えるWASHハウスですが、この労務形態であれば、正社員を雇用せずとも働き手は集まります。
全店舗に設置されているタッチパネルにログインすると、その日に行う業務がわかるようになっており、スムーズに業務を進められる仕組みもあります。洗剤の在庫もタッチパネルで管理できるそうです。

これらのことを“何気ない仕組み”と児玉社長は表現されますが、その一方で、「これがないと絶対に多店舗展開できない」と断言されます。たくさんの効果的な仕組みがWASHハウスの成功を生んでいる、ということがよくわかります。

また、コインランドリー事業はクリーニング屋さんではなく、洗う場所を提供するのが仕事なのだそうです。従来のクリーニング業界を一新する施策の数々は、コインランドリー事業に対する見方が違うからこそ生まれてきたものなのでしょう。

【なぜコインランドリー事業に至ったか】

同社が現在の業種、ビジネスモデルに至った過程についてもお話しいただきました。
17年ほど前に、厚生労働省が日本の適正人口を発表し、その数は6000万人だったそうです。当時、児玉社長は不動産業を構想していましたが、減りゆく人口や圧倒的先行事業者の存在から断念しました。

他の事業を模索する中、コインランドリー業界は異質な存在でした。100人中3人が利用していれば成り立つ事業だったのです。100人中6人が利用するような状態にできれば、人口が半減しても成り立つということになります。アレルギー疾患者が増えている時流を考えても、伸びしろのある事業だと考えました。

しかし、コインランドリーを事業にするにあたって、多店舗展開でなければ利益が出ないことがわかりました。そこで課題になるのが設備です。一店舗つくる内の6~7割は機材によるもので、元を取るのに5年はかかります。現金は回るが赤字の状態が続き、3年も経てば銀行もお金を貸してくれなくなります。つまり、自己資本での出店は難しいということになり、フランチャイズの仕組みがどうしても必要ということになったのです。

さらにフランチャイズ制度も問題を抱えていると、児玉社長は続けます。コンビニのフランチャイズは3割しか成功してないと言われており、訴訟も絶えないのだそうです。本部は売り上げが悪いと加盟店のせいにし、その逆もあるそうで、衝突してしまう仕組みになっているのだとか。児玉社長はそのために、本部とフランチャイズが衝突しないWASHハウス独自の仕組みをつくりあげ、見事に成功しました。

わかっている問題に対して、最初から対策をする。その積み重ねが、同社の戦略や仕組みにつながっているようです。


児玉社長がこの講演で何度もお話しされていたのは、戦略を考えるということです。価格競争や環境の変化、パラダイムチェンジが起きたときに対応していけるかどうか。そこまで考えていなければならないと言います。
これは“わかっている問題に対して、最初から対策をする”ことの延長線上にあるものですが、ここまで突き詰めなければ事業は成功し得ない、ということを児玉社長から強く感じた講演でした。


理念と経営 2018年2月号にて掲載

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