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ONE POINT ADVICE

ワンポイントアドバイス

第010号 税効果会計

税効果会計について

「税効果会計」は平成12年3月決算から有価証券報告書を提出している公開会社の個 別財務諸表と連結財務諸表において適用が強制されます。しかし、平成10年6月に公表 された「商法と企業会計の調整に関する研究会の報告について」(大蔵省、法務省)におい てすべての会社において商法上もこれを適用することが適当と述べています。そもそもこ の「税効果会計」の目的は2つあり、一つ目は最終的な業績判断の基となる当期利益を正 確に計算すること。二つ目は正しい処分可能利益を計算することにあります。したがって、 金融機関等に提出される決算書において「税効果会計」を適用していないものはしている ものに比べ正確性に欠けると見られてしまいます。ですから、強制ではありませんが、中 小企業でも実施しておくにこしたことはないということになります。
それでは、「税効果会計」について簡単に説明しておきます。損益計算書の下の方には税引 前当期利益と法人税等そして当期利益がならんでいます。この税引前当期利益は企業会計 の考え方に基づき計算されています。でも、その下の法人税等は法人税法の考え方により 計算されているので、たとえ当期と翌期で税引前当期利益が同じでも当期利益が異なった りします。こうなると株主はいつ株主になったかで不公平が生じたりするわけです。こう いう弊害を排除していくことも目的に絡んできます。
さて、「税効果会計」は企業会計における収益と費用、法人税法上の益金と損金の認識時 期のずれによって生じる税金の前払いと後払い(繰延べという)を決算書に反映させよう とする会計処理です。通常、企業会計の利益を法人税法の所得にするため次の4つを加減 します。

A 収益ですが益金でないもの(益金不算入)
B 収益ではありませんが益金になるもの(益金算入)
C 費用ですが損金にならないもの(損金不算入)
D 費用ではありませんが損金になるもの(損金算入)

つまり、利益にBとCを加算しAとDを減算するのです。この利益と所得の違いの原因 は認識するタイミングが違うものと(一時差異という)根本的に考え方の異なるもの(永 久差異という)がありますが、前者は将来必ず解消されますが後者は永久に解消されませ ん。「税効果会計」は一時差異を対象として処理していきます。
たとえば、法人税法で定められた金額以上に貸倒引当金を計上した場合、当期に納付す る税金が多くなるため当期利益は小さくなります。これを税金の前払いと捉えます。当期 に税金の前払いをしたおかげで翌期は当期利益は多くなります。これが前半述べました株 主の不公平につながるわけです。「税効果会計」ではこの税金の前払いを損益計算書の法人 税等の次に調整額としてマイナスします。ですから株主間で公平な処分可能利益を計算することも可能です。

経営コンサルティング部門
財務担当研究員
村尾 謙次

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