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ONE POINT ADVICE

ワンポイントアドバイス

第053号 突然の資金ショートを起こさないために (1)

企業経営にあたり「“資金ショート”を起こしてはならない」ということは、言うまでもありません。しかし、一度陥ってしまうとなかなか抜け出せないのがこの“資金ショート”です。資金ショートを起こさないためにはどうすればよいか、5回にわたり連載します。

決算書は「経営者の通信簿」と言われることもあります。決算書の作成自体は会計事務所に任せてもかまいませんが、経営者は作られた決算書を読み込む必要があります。

月次決算書を読み込むには「予算がある」ことが前提です。年間ベースの工事原価率とか経費の見積り、最終利益などを月単位に落とし込んだ予算があって、これと月々の実績とで「予実管理」をする。これが一般的な月次決算の使い方です。

ただし今まで試算表すら作ってこなかった会社がいきなり年間予算を作ろうとしても無理があります。まずはPL(損益計算書)から作成し、それが出来たらBS(貸借対照表)、そうしたら今度は予算組みを徐々にやってみると、段階を踏んでレベルアップしていくことが大事です。

次に見るべきポイントは前年比での完成工事高と工事原価です。

公共系の会社の場合、完成工事高はまず落ち込んでいくことになります。それはもうその年しのぎの対策ではなく、独自技術や新事業など、新たな強み(コア・コンピタンス)を作ることによって他社との差別化を図っていかなければなりません。ある程度中期的な視野で計画を立てていかないと、売上確保は難しいでしょう。

また未だに多くの会社で、完工してはじめて採算割れに気づくといった、工事原価の管理ができていない状況が見られます。手書きで処理していたのでは追いつけないですから、コンピュータを活用すべきです。

ぜひお勧めしたいのは「補助元帳を読む」ということです。決算書では総額しか分かりませんが、補助元帳なら例えは接待交際費や広告宣伝費・賃借料・リース料など、誰がいつ何のためにいくら使ったかが分かります。主要な経費が収益に貢献している支出なのかどうかを調べていくと、けっこう単なる慣習的な支出が多いものです。カットできるものや意外な落とし穴、工夫できる点がみつかることがあります。削減できるものを削減していけば、それだけ利益として残るわけです。

決算書や補助元帳を見るほどに数字に対する経営者の意識は高まり、会社と数字の動きと連動していることもわかります。会社の体質改善や利益計画を立てる際のヒントにもなるでしょう。

経営コンサルティング部門
財務担当研究員 村尾 謙次

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