2023.04.1

強い営業組織と効果的な販売戦略とは?戦略立案から組織の鍛え方まで

古い組織から新しい組織への過渡期とも言われる昨今、より効率的に商品やサービスを販売するにはどうしたら良いものかと、お悩みの担当者の方も多いのではないでしょうか。
商品を販売するには、合理的な戦略と強い営業組織が必要です。
営業活動においては、従前の人海戦術的戦略は見直され、より少ない力で成果を上げる方法へシフトしています。新しい時代へ対応できる組織づくりが必要です。
本記事では、販売の軸となる販売戦略と強い営業組織をつくるマネジメントについて、紹介しています。
販売の根幹を見直すべく、ぜひ記事内容をご確認ください。

販路拡大と売上アップに必要な販売戦略とは


販売戦略とは、自社のサービスや商品をどのようなルートを用いて、いくらの価格で、どのような顧客へ、どのような手段でアプローチするのか考えつつ、戦略としてまとめることを言います。
論理的な販売戦略をもたずに、今まで培った経験や勘で商品が売れることもあります。しかし、行きあたりばったりの販売では、売れた原因や売れなかった原因を把握することができず、あらたな販売戦略を立てることができません。
近年ではインターネットが普及し、よりユーザーを身近に感じられるようになりました。顧客との接点は多様化し、販売チャネルは複雑さを極める一方です。今までは場当たり的な販売手法でも切り抜けられたかもしれませんが、引き続き経験や勘に頼る販売を繰り返していると、混乱や無駄が生じる可能性もあります。
見込み顧客へ効率的なアプローチを行い、一定の成果を上げるには、状況や顧客分析に基づいた一貫性のある戦略が必要です。

基本的な販売戦略の考え方


基本的な販売戦略のフローを以下に紹介します。

市場の分析

ターゲットとする市場の様子、ビジネスとして需要があるか、社会的背景などの外部環境を中心に、客観的なデータを参考に分析します。
例えば介護ビジネスとしてサービスの提供を考える場合、高齢化社会と少子化、都市集中型の社会背景による地方の過疎と老老介護、増え続ける介護のニーズと働き手の不足、そこへビジネスとして参入する意味などが、市場の分析に該当します。

競合分析

競合各社のシェア率や、評判のランキング、商品力、営業の強みなどを分析します。シェアと評判のバランスは重要です。
シェアが大きくなればなるほど、ユーザーが増えるため、よい評判を得る一方で悪い評判もついてしまいます。
シェア率の高さの内訳を見ると、代替え品がないためにしょうがなく使い続けている、営業力の高さでカバーしている可能性もあります。

ターゲットとする市場で競合各社が、ユーザーからどのような評価を得ているのかという点の分析も大切です。

顧客のニーズを把握する

自社の商品に対する顧客のニーズや課題などを確認します。方法はアンケートやSNSなどでの声、インターネットの質問掲示板を参考にするなどが挙げられます。方法に偏りがあると、良い調査結果が得られません。
バランスのよい情報収集を心がけましょう。
また、将来顧客になる可能性がある潜在的な顧客層の有無も確認しておきます。

自社の分析

自社のブランド力や商品力、営業力の現状を第三者の視点から分析します。相対的に見た自社製品やサービスの強みと弱みを正確に把握しておくことはとても大切です。
強みは差別化によってより強い訴求ポイントとしてアピールし、弱みは決定的な弱点とならないように補います。

課題の発見と対策の検討

自社の分析まで終えたところで、課題を洗い出し、対策を検討します。
市場の中で自社がどのような立場にあり、顧客のニーズと自社の強みと弱みを把握する現状認識がまずは必要です。
課題の洗い出しとともに、おのずから取るべき販売戦略も明らかになってくるでしょう。

販売戦略の策定

基本的な販売戦略を決めたあとは、行動計画を立てます。本格的に組織が動き始めるのは販売戦略を立案した後です。
基本的な販売戦略方針は、関係者へ広く周知し、共有します。
大きな筋道を立てたあとは、組織ごとに細かい計画を突き詰めていきましょう。

販売戦略立案に活用できるフレームワーク


フレームワークとは、ビジネスの環境と戦略を考える際の公式として活用される一方で、マーケティングの基礎としても知られています。あらかじめ決められた項目を埋めることで、取るべき戦略が具体化され鮮明になります。
各種フレームワークをうまく使いこなして、具体的な販売戦略の立案に繋げましょう。

3C分析

自社と自社をとりまく市場環境を確認するために使うフレームワークです。3Cとは、Customer、Competitor、Companyの頭文字です。
それぞれのCの状況を確認し、市場の全体を捉えます。

  • Customer(顧客)市場規模や成長性、顧客のニーズ、ターゲット層の購買意欲や購買能力の確認
  • Competitor(競合)競合企業の売上、利益率、シェア、顧客数、顧客単価などを分析。販路や営業の体制、顧客サポートの充実度と評判も調査
  • Company(自社)自社の売上や、収益性、シェアやブランド力、販路など企業としての総合力を客観的視点から分析

SWOT分析

自社の強みや弱みといった内部環境と、競合の状況や社会背景、トレンドなど外的要因を相対的に比較して、プラス要因とマイナス要因の分析を進めます。
強化すべきポイントと、すぐに対策が必要など、戦略の方向性を見出すことができる点がポイントです。

  • Strength(自社の強み)自社の商品の強み、訴求ポイント
  • Weakness(自社の弱み)自社商品の弱み
  • Opportunity(機会)自社製品の追い風となる社会背景やトレンド。例えば少子高齢化による介護需要の増加やタピオカブームなどが挙げられます。
  • Threat(脅威)社会醸成やトレンドの動向にて、自社商品やサービスの妨げとなるもの。
    エネルギー資源や原材料費の高騰による経営圧迫、少子高齢化による働き手不足などが挙げられます。

STP分析

自STP分析は、自社商品のターゲット層を明確にして、強みとなる差別化ポイントと訴求力を明らかにします。分類し、狙いを定めて、良い位置を取る、という流れです。

  • Segmentation(セグメンテーション)客観的データをもとに、性別、年齢などの属性、行動や興味関心などの条件にて、顧客層を分類します。
    セグメンテーションの項目は、商品やサービスに適宜合わせます。
  • Targeting(ターゲティング)セグメンテーションによって細分化した分類項目から、自社の商品が戦える項目を選択。市場や顧客の選別と選択とも言えます。
  • Positioning(ポジショニング)選別した市場にて、自社の商品が競合よりも優れていると見られるポイントを明らかにする。

4P分析

ターゲットやポジショニング、内外の環境分析をもとに、具体的な商品の価格設定、売り方などを決めるためのフレームワークです。

  • Product(製品)販売する商品の品質、デザイン、パッケージの検討。商品は顧客のニーズを満たすことができるか、競合との差別化は明確にされているか、という点を確認します。
  • Price(価格)適正な販売価格を検討。顧客が購入しやすい価格か、商品の価値とのバランス、適正な利益が出るか、という点を考慮します。
  • Place(流通)顧客へ商品を確実に届けるための方法を選択。ECサイトを使った直販や、仕入れ販売などが挙げられます。販売場所をオンライン、リアル店舗にするか、の選択も重要です。
  • Promotion(プロモーション)販販促方法の検討。WEB広告やチラシ、CM、SNSマーケティングなど、多様なプロモーション方法から、商品の特性とターゲット層に合わせて選択します。
    どうすれば商品を知ってもらい、購入にまでつながるか、を考えることが大切です。

4C分析

売る側の視点で構成された4P分析に対して、4C分析は顧客側や買う側の視点でマーケットを捉えるためのフレームワークです。
多くの商品があふれる現代社会において、顧客に選ばれる商品を作り出すには、顧客視点の分析は必須です。
本当に顧客が望むものはなにかを考えて、突き詰めていく必要があります。

  • Customer Value(顧客価値)顧客がその商品へ求める価値とは?商品から得られるメリットや効果、どのような満足感が得られるのか?という点を突き詰めて考えます。
  • Cost(顧客のコスト)商品の価値に対して、顧客が支払うコストは?商品を手にするまでの時間や手間もコストとして考えます。
  • Convenience(顧客にとっての利便性)顧客が商品を入手しやすいルート、提供方法の検討。店舗ではアクセスや営業時間、ECサイトの場合は見やすさや決済方法など、購入に至るまでのストレスを出来る限り減らす方法を考えます。
  • Communication(顧客とのコミュニケーション)企業側のメッセージ発信と顧客側のフィードバックが双方向に働く良い方法を検討。対面や電話によるコミュニケーションの他に、WEBサイト、SNSなどマルチチャネルでの対応を構築しましょう。

ペルソナ設定


ペルソナ設定とは、自社の商品を必要とする理想的な人物像を設計することをいいます。
設定後は、ペルソナへ向けて販売戦略を行うイメージで、施策を立案します。各関係者とのペルソナの共有が重要です。
認識を同じくすることで販売戦略にブレがなくなります。
ペルソナの主な項目は以下のとおりです。

  1. 年齢、性別、などの基本情報
  2. 職業、働き方、最終学歴
  3. 起床時間や就寝時間、休日の過ごし方などの生活パターン
  4. 性格や価値観
  5. 家族構成
  6. 収入、貯蓄の状況
  7. 趣味、関心事(旅行、ショッピングの傾向など)

人物像を明確にするための項目を基本として、商品に遠すぎる項目は除外しつつ設定をすすめましょう。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーとは、商品の認知から検討、購入、利用後の問い合わせや口コミの拡散に至るまで、顧客がたどる一連の行動のことを言います。
カスタマージャーニーマップは、一連の行動をすごろくのように図式化して、各プロセスで顧客が取る行動や思考、感情の分析を行います。

各プロセスにて、どのようなアプローチをもって顧客をサポートしつつ購買まで導くのか、そのための施策を検討します。
また、購買後のフォロー施策も大切です。

強い営業社員を育成するためのマネジメントとは

商品の販売に必要なものは、計画と行動です。販売戦略にて計画を立てた後は、具体的な行動に移しましょう。
以前に比べると営業の仕事をマーケティング部が担うケースが増えましたが、営業部が会社の売上を担う大切な部署であることに変わりはありません。
営業マネジメントとは、営業組織が成果を出せるようにするための道具や仕組みのことをいいます。一般的なビジネスシーンでは、営業が活躍できるためのメソッドや、仕組み作りのことを指して言うケースがほとんどです。
記事の後半では、強い営業社員を育成するためのマネジメントについて、紹介します。

営業マネジメントが担う4つの役割


営業マネジメントが果たす具体的な役割を以下、4つのポイントにまとめました。

属人化させないための共有

社内のナレッジを組織全体で共有することによって、全体を底上げします。特にうまく行った成功事例は個人だけのものとせずに、全体で共有し勝ちパターンを習得するようにしましょう。

営業プロセスの管理による弱点の洗い出し

目標設定を始めとして、アポイントの獲得や商談までのプロセスを数値化し、マネジメントする必要があります。
数値化できれば、良い点と悪い点が明らかになり、結果が出る前に修正対応をとることができます。
結果が出て対応していたのでは、次につながる成果となりにくいです。

目標と計画を立てる

具体的な目標をたてて、逆算で行動を決定します。例えば契約を月◯件と設定した場合、必要な訪問件数と実現するための接触件数など、プロセスごとの目標設定を行います。
漠然と目標のみを立ててしまうと直近で何に注力すべきかわからなくなってしまいがちですが、プロセスごとにゴールを区切ると成すべきことが明確になり、目的意識をしっかり持つことができます。

自ら考え行動できる営業の育成

営業マネジメントのまとめとも言うべき項目です。最終的には自分で考えて答えを出し、具体的に動くことができる人材の育成ができればおのずと強い組織が形成されるでしょう。
全てのプロセスと結果には理由があります。理由について深く考えることができる人材を一人でも多く、育成していきたいところです。

まとめ

販売戦略と営業組織の強化は、企業が存続していく上で避けては通れません。変化の時代とも言われる現代において、外的要因に耐えうる組織作りは急務とも言えるでしょう。
長年の実績と経験に頼りがちな営業活動を行っている場合は、合理的な組織運営への切り替えを目指してみてはいかがでしょうか。