リーダーシップ・コーチングとは?目的や個人・組織への効果を解説
組織が成果を上げるための必要な要素として「リーダーシップ」があります。一般的に「リーダー」というと、適性を持つ人が担う役割という印象がありますが、実際には後天的に伸ばし、育てることができます。
そのリーダーシップを育てる鍵となるのが「リーダーシップ・コーチング」です。
本記事では、全国14,000社以上の会員企業様を支援してきた日創研がリーダーシップ・コーチングとは何かについて解説します。
そもそもリーダーシップやコーチングの役割とは何なのか、リーダーシップ・コーチングで得られる効果についてもまとめています。
目次
リーダーシップ・コーチングとは?
リーダーシップ・コーチング(Leadership Coaching)は、対話を通じてリーダーの潜在的な能力やリーダーシップスキルを引き出し、自己成長、意思決定力、対人関係力を高める手法です。
この手法を導入することで、リーダーとしての資質を持った人材が育成され、チーム全体が自律的に成果を出し続ける組織づくりが可能になります。単なるマネジメントを超え、組織力を高めるうえで重要なアプローチといえるでしょう。
リーダーシップ・コーチングの目的や対象となる層
リーダーシップ・コーチングには、以下のような目的があります。
- 自己成長の促進:自分自身の可能性を広げ、より高いレベルのリーダー像を描く
- 意思決定の質向上:状況を冷静に分析し、組織にとって最適な判断を下す力を養う
- 部下育成力の強化:部下の能力や意欲を引き出し、チーム全体のパフォーマンスを高める
対象は経営層や部門長、中間管理職、課長・マネージャーにとどまらず、一般社員まで幅広く含まれます。一般社員にも取り入れることで、将来のリーダー人材を計画的に育成できる点も特徴です。
コーチングとリーダーシップの役割
そもそもコーチングやリーダーシップとはどのような概念なのでしょうか。
簡潔に言えば、コーチングは「人の力を引き出し、自ら動けるように支える方法」、リーダーシップは「方向を示して人を動かす力」です。どちらも人材育成や組織運営に欠かせない要素ですが、アプローチや目的には明確な違いがあります。
コーチングとリーダーシップのそれぞれの役割について次から見ていきましょう。
人材育成に活用される「コーチング」
コーチングは、対話を通じてクライアント(コーチングを受ける側)の気づきや主体的な行動を引き出し、成長を後押しする人材育成手法です。特徴は、答えを一方的に教えるのではなく、コーチが質問と傾聴を重ねることで、クライアント自身が解決策を見いだせる点にあります。
管理職から若手社員まで職種や階層を問わず幅広く活用できるのも特長です。
実践では「ゴール設定→現状把握→行動計画→実践→振り返り」のサイクルを繰り返し、コーチは質問やフィードバックを通じて相手の内面を引き出す役割を担います。
コーチングが必要とされる理由
コーチングはスポーツや教育、キャリア支援など幅広い分野で活用されていますが、近年はビジネスの現場でも重要性が高まっています。
というのも、変化の激しい現代において、個人が自律的に考え行動する力を育むことが重要視されているためです。
- 市場や働き方が急速に変化し、知識伝達型の指導だけでは対応しきれない
- 上からの指示を待つのではなく、自ら課題を設定して解決する力が求められている
- 世代や価値観が多様化し、対話型マネジメントの重要性が高まっている
こうした背景から、コーチングは人材育成において重要な手法として注目されています。
チームや組織に不可欠な「リーダーシップ」
リーダーシップとは、人や組織が目標を達成するために他者へ影響を与え、方向性を示し、メンバーを動機づける力を指します。これは先天的な資質だけに頼るものではなく、訓練や経験を通じて磨き、育てていくことが可能です。
特にチームや組織ではリーダーシップが欠かせません。リーダーが明確なビジョンを掲げることで、メンバーは共通の目的意識を持ち、一体感を高めながらそれぞれの能力を最大限に発揮できます。
また、特定の一人が指揮を執るだけでなく、メンバー全員がリーダーシップを意識する文化を築くことも、組織の成長に必要な要素です。
リーダーシップ・コーチングによって得られる効果

リーダーシップ・コーチングは、個人の自己成長と組織全体のパフォーマンス向上を同時に促す手法です。個人・組織それぞれの効果について見ていきましょう。
個人への効果|1. 自己理解の深化
コーチとの継続的な対話を通じて、自分の価値観・強み・弱み・思考パターンが整理され、自己理解が大きく深まります。
その結果、判断や行動に一貫性が生まれ、リーダーとしての意思決定力や対人関係力が向上します。さらに、自己理解の向上はチームとの関係性にも好影響を与え、メンバーとの信頼構築や円滑なコミュニケーションの促進につながります。
個人への効果|2. ストレスマネジメントの向上
リーダーシップ・コーチングは、ストレスマネジメント力の向上にも有効です。
コーチとの対話を重ねることで、自分がどのような状況で緊張や不安を感じやすいかを把握でき、感情の傾向や反応パターンを客観的に理解できます。その結果、プレッシャーのかかる場面でも冷静に判断し、落ち着いて行動する力が養われるため、リーダーとして安定したパフォーマンスを発揮しやすくなります。
個人への効果|3. 影響力・信頼構築力の強化
リーダーシップ・コーチングは、周囲への影響力や信頼関係を築く力の向上にもつながります。
コーチングを通じて、相手の話を注意深く聴き、自分の考えを分かりやすく伝える訓練を繰り返すことで、対人関係の質が高まります。
その結果、仲間から「この人と一緒に働きたい」と思われる存在へと成長し、チーム全体の協力を得やすくなるため、業務もより円滑に進められるようになるでしょう。
チーム・組織への効果|1. コミュニケーションの活性化
リーダーシップ・コーチングは、チームや組織全体のコミュニケーションを活性化させます。
リーダーが傾聴を重視する姿勢を示すことで、上司と部下、同僚同士が率直に意見を交わしやすい環境が生まれます。
その結果、組織内の信頼関係が深まり、部門を越えた連携が活発化。最終的には業務全体の効率化と生産性向上につながります。
チーム・組織への効果|2. 部下のモチベーションアップ
リーダーシップ・コーチングは、部下のモチベーションを高める効果もあります。
リーダーが一方的に指示を出すのではなく、メンバーと共に目標を考えることで、自発的に行動する組織文化が育まれます。
その結果、主体的に課題を設定し挑戦する人材が増え、チーム全体の活気と創造性が向上。さらに、自らの成長を実感できる環境が整うことで、離職率の低下や長期的なパフォーマンス向上にもつながるでしょう。
チーム・組織への効果|3. マネジメントの質の向上
リーダーシップ・コーチングは、マネジメントの質を高める効果もあります。
リーダーがメンバー一人ひとりの強みや得意分野を正確に把握し、最適な役割分担を行えるようになることで、チーム全体の成果を引き出しやすくなります。
個々の能力が十分に活かされれば、組織は高い成果を上げながら人材育成も同時に進められるのです。
リーダーシップ・コーチングを効果的に進めるためのポイント
リーダーシップ・コーチングを成果につなげるには、明確な目標設定や信頼関係の構築、継続的な振り返り、そして組織全体の支援が欠かせません。以下では、実施にあたって押さえておきたい重要な観点を整理します。
明確な目的設定をする
リーダーシップ・コーチングを始める際には、何を目指すのかを具体的に定めることが不可欠です。
目的があいまいなままでは進行方法や成果の判断が難しく、効果が見えにくくなります。たとえば「リーダーの意思決定力を高める」「部下との対話力を強化する」など、明確なゴールを設定することで行動計画を立てやすくなり、実践的な成果につながります。
信頼関係を構築する
コーチとリーダーの間に安心して本音を語れる関係を築くことが、学びの深さを左右します。信頼がなければ率直な意見交換ができず、気づきや成長の幅が狭まってしまうでしょう。
約束を守る、相手の話を丁寧に聴く、批判を控え受容するなど、基本的な態度の積み重ねが信頼を育てる鍵となります。双方が安全だと感じる環境があって初めて、コーチングは効果を発揮します。
継続的に振り返りをする
一度の実施で終わらせず、定期的に進捗を確認することが重要です。振り返りを重ねることで成長を実感し、課題を発見できるため、次の行動に反映しやすくなります。
毎月あるいは四半期ごとなど、あらかじめ間隔を決めて振り返りを習慣化することが重要です。
組織の支援体制を作る
コーチングの効果を持続させるには、組織全体で支援する仕組みが必要です。上司や人事部門が理解し協力しなければ、時間の確保や評価への反映が難しく、取り組みが短期的に終わる恐れがあります。
業務時間の調整や評価制度と連動させるなど、組織ぐるみで学びを支える仕組みを作ることが、コーチングを進めるうえでのポイントです。
リーダーシップ・コーチングを理解し、能力を引き出そう

リーダーシップ・コーチングは、対話を重ねて相手の潜在能力を引き出すコーチングを活用しながら、個人のリーダーシップの能力を開発する方法です。管理職やマネージャーだけでなく一般の社員なども対象になります。
なお日創研では、リーダーシップを多角的に捉え、実践的に鍛えるための「エクセレントリーダーシップセミナー」を開催しています。
自身のリーダーシップを見つめ直し、発揮する力を高めることを目的に3日間かけて学びます。ユーモアを交えたプログラムで、楽しみながら深く学べるのが特長です。
また、「社長と幹部が学ぶリーダーシップ・フォロワーシップ1日セミナー」では、リーダーシップとフォロワーシップの双方を理解し、両者が組織でどのように作用するかを学習します。幹部や経営者が自分自身のリーダーシップとフォロワーシップを客観的に把握する機会となるでしょう。
リーダーシップを体系的に学び、実践力を高めたい方は、参加をご検討のうえ、お気軽にお問い合わせください。







