2026.01.19

経営戦略の種類には何がある?それぞれ戦略の特徴を例と交えて解説

経営戦略の種類には何がある?それぞれ戦略の特徴を例と交えて解説

経営戦略とは、企業が目指す方向へ進むために、どの資源をどれだけ投入し、どのように競争優位を築くのかを定める基本方針のことです。一口に「経営戦略」といっても、実際には全社戦略・事業戦略・機能戦略といった複数の種類があり、それぞれ役割や目的が異なります。

本記事では、全国で14,000社以上の会員企業様を持ち、数多くの中小企業の経営を支援してきた日創研が、主要な経営戦略の種類や特徴について、具体例を交えながら解説します。

経営に関する理解を深めたい方や、戦略立案の参考情報を求めている方は、ぜひ参考にしてみてください。

経営戦略とは?

経営戦略とは、企業が向かうべき方向を明確にし、「どこに資源を投入し、どのように競争優位を築くのか」を定める長期的な方針のことです。

企業の資源には人材・資金・時間など限りがあるため、注力すべき領域を選び抜くことが欠かせません。特に「どの顧客に」「どのような価値を」「どの手段で届けるのか」を整理することがポイントです。

経営戦略が定まることで、組織全体の方向性が統一され、社員は「何を優先すべきか」を判断しやすくなります。

また、戦略は「何をやるか」を決めるだけでなく、「何をやらないか」を明確にする点も重要です。不要な活動を削減し、成果を生み出す取り組みに集中することで、企業全体のパフォーマンス向上につなげます。

【階層別】経営戦略の種類

経営戦略は、企業全体から各部門へと階層的に展開されます。全社レベル・事業レベル・機能レベルと段階的に方針が落とし込まれることで、組織全体が一貫した方向へ進めるようになります。

【階層別】経営戦略の種類

  1. 全社戦略
  2. 事業戦略
  3. 機能別戦略

1. 全社戦略

まず全社戦略とは、企業全体として「どの事業で成長を図り、どの領域に経営資源を集中させるのか」を決める方針です。

企業には人材・資金・時間といった資源が限られているため、成長が見込まれる分野を選択し集中することも必要となります。伸び悩む市場に依存し続けてしまうと、企業全体の成長停滞につながりかねません。

また、単独での成長が難しい場合には、M&A・業務提携・海外展開などの選択肢が必要になることもあります。成長市場への積極参入や、採算の取れない事業の縮小・撤退といった判断も全社戦略の一部です。

他社との協業で新たな強みを獲得したり、多角化によって収益源を増やしたりする取り組みも代表的な戦略と言えます。

2. 事業戦略

事業戦略は、各事業ごとに「どの市場で」「どんな価値を提供し」「どのように競争に勝つのか」を定める方針です。市場ごとに求められる価値や競争状況は大きく異なるため、勝ち方の明確化が成果につながります。

例えば、以下のような戦略が挙げられます。

▼事業戦略の例

  • 低コスト化による価格競争の優位確保
  • 独自性の高い商品やサービスによる差別化
  • 需要が拡大している市場への新規参入 など

事業戦略が定まることで、商品開発・営業・サービス提供など事業内の活動が一貫し、効率的に価値を生み出せるようになります。

3. 機能別戦略

機能別戦略とは、マーケティング・人事・生産といった各部門が、事業戦略を実行するために「どのように動くか」を具体化した方針です。事業戦略が明確でも、部門ごとの取り組みがバラバラでは成果を最大化することはできません。

各部門の活動が事業全体の強みに直結するため、日常の業務レベルにまで戦略を落とし込むことが重要です。

例えば、以下が挙げられます。

▼機能別戦略の例

  • マーケティング部門:ターゲットに適した広告手法や販売チャネルの選定
  • 人事部門:必要なスキルを持つ人材の採用・育成計画の設計
  • 生産部門:品質を確保しつつ効率的に製造する仕組みづくり など

こうした取り組みにより、戦略を支える実行力が企業全体に浸透します。

競合他社に対する経営戦略の種類

競合他社に対する経営戦略の種類
経営戦略には、企業が「どのような方向性で競争に挑むのか」という観点で分類する方法があります。競争の仕方によって企業の進むべき道は大きく変わるため、戦略の特徴を理解することが重要です。ここでは、競合他社に対する主な戦略を紹介します。

【経営戦略の種類】

  1. コストリーダーシップ戦略
  2. 差別化戦略
  3. 集中戦略
  4. 多角化戦略
  5. ブルーオーシャン戦略
  6. グローバル戦略
  7. デジタル戦略(DX戦略)

1. コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略(価格戦略)とは、生産・運営の効率化を徹底し、業界で最も低コストで商品やサービスを提供できる体制を築く戦略です。

低価格を実現できる企業は価格比較に強く、同品質ならより安いものを選ぶ顧客が多いため、市場シェアを拡大しやすくなります。また、無駄を減らすことで利益を確保しやすい点も魅力といえるでしょう。

▼コストリーダーシップ戦略の例

  • 生産ラインや物流の効率化による製造コストの削減
  • 低価格販売で顧客を大量に獲得し、市場での存在感を高める取り組み など

2. 差別化戦略

差別化戦略は、他社にはない独自の価値を生み出し、価格以外の理由で選ばれる状態をつくる戦略です。

差別化に成功すれば価格競争に巻き込まれにくくなり、多少高い価格でも顧客に受け入れられやすくなります。また、独自性が高いほど模倣されにくく、ブランドとしての信頼を強化できる点もメリットです。

▼差別化戦略の例

  • 高品質・デザイン性・使いやすさなど、製品自体に独自性を持たせる
  • アフターサービスや顧客体験の改善など、商品以外の価値で差をつける など

3. 集中戦略

集中戦略とは、特定の市場や顧客層にターゲットを絞り、その領域に深く価値を提供する戦略です。

大手企業が入りにくいニッチ市場で強みを発揮しやすく、限られた資源でも成果を上げやすい点が特徴です。対象を絞ることで商品やサービスをきめ細かく最適化でき、熱心なファンの獲得につながります。

▼集中戦略の例

  • 特定の年齢層・職業向けに特化した商品
  • 小規模ながら品質にこだわった高級文房具ブランド
  • 地域密着型スーパー など

4. 多角化戦略

多角化戦略は、現在の事業とは異なる分野へ進出し、新たな収益源を確保する取り組みです。

1つの事業に依存すると、市場縮小の影響を大きく受ける可能性があるため、事業ポートフォリオの分散が重要になります。新ジャンルへの挑戦は企業全体の安定化にもつながります。

▼多角化戦略の例

  • 製造業がサービス業やIT事業へ進出
  • 自動車メーカーがEV電池事業に参入
  • 通信会社が金融サービスを展開 など

5. ブルーオーシャン戦略

ブルーオーシャン戦略とは、競争が激しい既存市場(レッドオーシャン)ではなく、競争がまだ少ない新しい市場を開拓する戦略です。

競合が少ないため価格競争に巻き込まれにくく、新しい価値を提案できれば顧客から高い評価を得やすくなります。市場そのものをリードできる点も利点といえるでしょう。

▼ブルーオーシャン戦略の例

  • 常識を超える価格・機能・体験の組み合わせで新市場を創出
  • 新しい使い方を生み出すことで未開拓の需要を開発 など

6. グローバル戦略

グローバル戦略は、海外市場へ進出し、現地の文化やニーズに合わせながら事業を展開する戦略です。

海外市場の方が成長率が高い場合、新規売上を確保しやすくなります。また、現地で生産することで物流コストを抑えられるうえ、現地企業との連携によって法制度や商習慣の違いにも対応しやすいのもメリットです。

▼グローバル戦略の例

  • 海外工場を活用した製造コスト削減
  • 現地企業との提携によるスムーズな市場参入
  • 国ごとの文化に合わせた商品・サービス調整 など

7. DX戦略

DX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略とは、デジタル技術を活用して業務効率を高め、市場での競争を優位にすることを目的とした戦略です。

データ活用により需要予測や在庫管理の精度が向上し、自動化の導入によって人件費の削減や業務スピードの向上が期待できます。また、顧客データを分析することで、一人ひとりに最適化された価値提供が可能になります。

▼DX戦略の例

  • データ分析による売れ行き予測と在庫削減
  • 自動化による作業効率の向上
  • 顧客データを基にしたパーソナライズ提案

自社に合った経営戦略を立てるポイント

経営戦略は、他社を模倣するための計画ではなく、自社らしさを活かしながら持続的に成長していくための設計図のようなものです。ここでは、自社に最適な経営戦略を策定する際に押さえておくべき重要なポイントを5つ解説します。

【自社に合った経営戦略を立てるポイント】

  1. 存在意義(ミッション)を明確にする
  2. 内部環境と外部環境を徹底分析する
  3. 経営資源に合った戦略を選ぶ
  4. 競争優位を明確にする
  5. 実行・検証・改善の仕組みをつくる

1. 存在意義(ミッション)を明確にする

まず、自社が「何のために存在するのか」を明確にし、戦略の軸を定めることが重要です。

方向性が曖昧なままでは、事業の選択がぶれやすく、組織全体が一体となって動くことが難しくなります。ミッションがはっきりしていれば、社員や関係者が共通の目標に向かって行動しやすくなり、意思決定のスピードも向上します。

ミッションを整理する際には、「誰の」「どんな課題を」「どのように解決したいのか」を言語化しましょう。存在意義が明確になると戦略に一貫性が生まれ、企業独自の強みが磨かれていきます。

2. 内部環境と外部環境を徹底分析する

戦略は、現状の理解が正確でなければ実効性の低いものになってしまいます。そのため、自社の強み・弱みといった内部環境、そして市場動向・競合状況・顧客の変化といった外部環境を分析し、戦略の前提条件を整理する必要があります。

内部環境の分析では、人材・技術力・ブランド力・財務状況の把握、そして外部環境の分析では、業界のトレンド、顧客ニーズの変化、競合の強み、法律や社会動向などを捉えることが求められます。分析が深まるほど、現実的かつ効果的な戦略につながります。

3. 経営資源に合った戦略を選ぶ

企業が持つ資源(人材・技術・資金など)に適した戦略を選択することが不可欠です。資源と戦略がミスマッチの状態では、実行段階でつまずきやすく、計画倒れになりかねません。

一方、自社の強みを生かせる領域を選べば、競争優位性の獲得につながり、安定した成長を実現しやすくなります。

例えば、以下のように資源に応じて戦略を選ぶことが大切です。

  • 人材に強みがある企業→サービスや技術を軸にした戦略
  • 資金力がある企業→M&Aや設備投資を絡めた戦略
  • 中小企業→対象市場を絞り込む集中戦略 など

4. 競争優位を明確にする

自社の強みを整理し、「なぜ自社が選ばれるのか」を明確にすることも重要です。競争が激しい市場では、独自性がなければ顧客に選ばれにくく、価格競争に陥りやすくなります。

競争優位は、品質・スピード・デザイン・サービス・専門性など、企業によって異なりますが、特に「顧客が価値を感じるポイント」に絞ると良いでしょう。競争優位が明確になることで、商品開発・営業・マーケティングなどあらゆる活動に一貫性が生まれます。

5. 実行・検証・改善の仕組みをつくる

優れた戦略であっても、実行されなければ成果にはつながりません。また、実行状況の確認や改善の仕組みがなければ、課題を見過ごし、戦略が形骸化してしまいます。

そのためにも以下のような仕組みが必要です。

  • 明確な目標設定
  • 進捗の見える化
  • 定期的なレビュー

計画通りに進んでいない部分は適宜修正し、改善を積み重ねることで戦略の精度が高まります。これにより、戦略策定のやりっぱなしを防ぎ、戦略を継続的に強化できます。

経営戦略の種類をおさえよう

経営戦略の種類をおさえよう
経営戦略とは、限られた資源をどこに集中し、どのように競争優位を築くかを定める企業の指針です。

全社・事業・機能の階層ごとに方針を整理し、コストリーダーシップや差別化、集中、デジタルなど多様な戦略を選択するため、種類やそれぞれの特徴を理解しておきましょう。

また経営戦略はもちろん、「経営の本質を学びたい」「学びを実際に自社に落とし込んで成果を出したい」という方に向けて、日創研のおすすめセミナーを3つご紹介します。

1. 実践ビジネススクール

実践ビジネススクール」は、経営者・幹部・後継者を対象とした5か月間の長期プログラムです。

「経営理念」から「中期経営計画書」の作成までを実習形式で学ぶほか、社風・組織・人材配置など、数字以外の経営要素も含めた「全体経営」の視点を身につけることができます。

財務分析・組織づくり・経営管理など、経営全般を体系的に学びたい方におすすめのセミナーです。

セミナー受講者の声はこちら

2. 新しい時代の社長学

新しい時代の社長学」は、経営者を対象に「イノベーションを通して成功企業をつくる」ことを目的としたプログラムです。

従来型の守りの経営ではなく、変化の時代を先取りする「全員経営・スピード経営・トータル経営」を重視し、組織の主体性を引き出す仕組みづくりを学ぶことができます。

さらに、5つの経営診断ツールを用いて自社を客観的に分析し、具体的な問題解決に活かせる点も特長です。

セミナー受講者の声はこちら

3. 実践マーケティング塾

実践マーケティング塾」は、経営者・幹部・マーケティング担当者向けに、マーケティングの本質や顧客視点、価値競争への転換、そして「顧客が自ら買いたくなる仕組みづくり」を学ぶ実践型のプログラムです。

マーケティングの基礎から「売れ続ける仕組み」の構築方法までを理解したうえで、豊富な企業事例をもとに自社のマーケティング戦略を立案・発表・検証します。

変化し続ける市場環境に対応できるマーケティング力を身につけたい方におすすめのセミナーです。

セミナー受講者の声はこちら

実践ビジネススクール

経営のイロハ(必要な数字や考え方)を学び、将来のなりたい姿に基づいた中期経営計画を作成する研修。数字に強くなりたい経営者は必須です。

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