SILLICON VALLEY BLOG

シリコンバレー通信

No.22 シリコンバレー視察セミナー3日目

3日目は、4社の企業視察、
そしてまとめの講義を行いました。

企業規模や目指す先は違えども、
いずれも淘汰の激しいシリコンバレーで
成功を収める企業です。
実際に会社に足を踏み入れ、
代表の方、担当の方から話を聴いて感じたのは、
共通して、私たちが昨日までの2日間で何度も耳にした、
「ペイン・ポイント(心の痛み、恐れ、不安)」に
真剣に向き合い、スピーディーにそして革新的に、
その解決に向けて必死に取り組んでいるということです。
企業側が一方的に自社の製品や技術を提供するやり方が、
急速に通じなくなっていることを、
肌感覚で理解することができました。

 

1社目は、Markさんのお知り合いで、
世界的なベンチャーキャピタル、ペガサス社です。
この企業様は、シリコンバレーで日々生みだされる、
世界中の人々をハッピーにするアイデアを、
具体的なカタチにして世の中に送り込む支援を行う企業です。
流ちょうな日本語でプレゼンテーションいただいた
代表のアニス氏は、東京工業大学で学ばれ、
IBM社で大活躍された経歴をお持ちです。
この会社に持ち込まれる案件は、なんと年間で5万件。
それらと、投資先とをマッチングさせる役割を担う同社の
存在感は日に日に大きくなっています。
アイデアがあっても資金がない企業と、
資金があってもアイデアがない企業、
それぞれのペイン・ポイントを深く深く理解されて、
社会全体に貢献されています。
プレゼンの最中、アニス氏の情熱や思慮深さに対する感嘆の声が
参加者の皆様からたびたび漏れ聞こえてきました。
視野を大きく広げるうえで、とても有意義な視察だったと思います。

 

2社目は、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社
シスコシステムズでした。
2週間ほど前にアメリカで発表された調査結果で、
働きやすさ№1企業に選ばれたそうです。
時間の関係で、その秘訣を直接聞くことはできませんでしたが、
プレゼンテーションの端々から、働く人々を最大限に尊重している様子を
感じ取ることができました。
また、より良い製品を送り出し、それが顧客から高い評価を
受けることが、社員さんの誇りになっているのではないかと思います。

 

本日の昼食は、オーガニック商品を中心にする、
富裕層がターゲットの大型スーパー、
ホールフーズのイートインコーナーで、
自由にメニュー選び、召し上がっていただきました。
amazonが買収したことでも話題となった、
こちらのスーパーですが、昼時ということもあり、
大勢の人が訪れていました。
参加者の皆さまは、ラーメンやピザ、総菜など、
いろいろなメニューを召し上がったいらっしゃいましたが、
おいしかったという感想が多く聞かれました。

 

3社目は、テスラ社です。
昨日までの2日間、そして今日の1社目のペガサス社での
アニス氏のプレゼンテーションでも、繰り返し耳にしたのが、
現在のシリコンバレーの象徴、テスラ社そしてその創業者、
イーロン・マスク氏でした。
そのショールームで、実際にテスラ社が販売している
自動車に触れ、スタッフの方からの説明を受けました。
まさに「百聞に一見如かず」、子供のころに目にした
アニメの世界が着実に現実になっていました。
イーロン・マスク氏が当初計画を発表したとき、
周囲は嘲笑したそうですが、それに左右されることなく、
初志を貫徹して実現させ、現在では圧倒的な支持を集めています。
人類そして未来を見据え、宇宙にまで視野を広げるマスクし行動を、
別次元の人がやっていることと傍観するのではなく、
自分ごととして捉え、見習い、実践していかなくては、
ますます差が開いていくという危機感を持ちました。

 

そして最後の4社目の視察は、今回の視察セミナーのキーワードとなった、
「ペイン・ポイント」を総括するにふさわしいものでした。
PROTXXという2016年に創業したこの会社では、
耳に付けて体調や疾患の兆候を検知する、
小型のウエアブルセンサーテクノロジーを開発されました。
参加者のお二人にデモンストレーションをしていただきましたが、
わずか1分弱で、健康状態がスマホに表示されました。
今後、遠隔地医療や高齢者の健康管理などの分野で、
大いに役立ちそうな秀逸のこの製品、
開発のきっかけは、プレゼンテーションをいただいた、
代表のジョーン氏のお嬢様がサッカーのプレイ中に
脳震盪を起こしたことでした。
わが娘に後遺症が残ってはいけないと、医療機関を訪ね歩きますが、
継続的に頭部の状態を計測する機器が見当たらず、
不安な気持ちに苛まれます。
そこで、自分の持つIT技術を使って、そういった機器が
開発できないかと考え、一念発起し企業を立ち上げます。
まさに、実体験で抱いた自らの「ペイン・ポイント」が
原点になっています。
だからこそ、言葉に力があり、私たちもジョーン氏の
話にぐいぐいと引き込まれていきました。
単に自分たちの持っているスキルや知識の押し付けでは、
きっと、このような状況は起きなかったと思います。
プレゼンテーションが終わった後、
多くの参加者の皆様が、ジョーン氏との握手を求められ、
心から応援しようとする姿がとても印象的でした。
「ペイン・ポイント」に目を向けて、その解決に向かって、
行動を起こすことのパワーを思い知る、素晴らしい視察でした。

 

シリコンバレーでの行程を滞りなく終了し、
サンフランシスコに向かいました。
市内到着後に、amazon goの店舗に立ち寄り、
レジなしコンビニを体験いただきました。
どんな小さな商品や薄い商品でも、
手に取って、ゲートを出るだけで、
数分後にはスマホに課金情報が送られてきます。
このスタイルが小売業の普通常識になるのも、
そう遠くないだろうと思える体験でした。

 

その後、イタリアンレストランに場所を移し、
食事に入る前に、3日間のまとめを行いました。
同席いただいたMarkさん、髙橋明希さん、能勢善男さんから、
このツアーのポイントと激励の言葉を頂戴し、
そして参加者それぞれ順に体験発表をいただきました。
皆様それぞれに、今後のビジネスに向けたヒントと
活力を得ていただけたのではないかと思います。
食事会も大いに盛り上がり、
充実した3日目を終えることができました。

各講師の皆様、そしてご参加の22名の皆様、
そしてご支援いただいたすべての皆さまに、
心より感謝申し上げます。

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